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マンションに太陽光発電が普及しない理由―固定価格買取制度と電力完全自由化の議論を!(上)
【2008-11-25:千葉利宏】経済産業省、国土交通省など4省が11月11日に「太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン」を公表したが、マンションへの普及について具体策は示されなかった。戸建住宅への太陽光発電の普及には積極的な政府が、なぜマンションには全く言及しないのか?―何とも不思議な話である。その理由は不動産協会の広報誌「FORE」9月号の特集記事「太陽光発電の再始動」(千葉が執筆を担当)の後半で簡単に解説したが、改めて取材の裏話を含めて問題の核心を掘り下げてみたい。
◆「FORE」9月号をお読みになる方はこちらから。
http://www.miraikeikaku-shimbun.com/article/14002678.html
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http://www.miraikeikaku-shimbun.com/article/14002678.html
誰も理由を説明したがらない?
「なぜ、マンションには太陽光発電システムが導入されないのか?」―そんな単純な質問に、太陽光発電の普及に取り組んでいる関係者の誰もが口ごもって、はっきりと答えない。今回の取材を通じて、最も奇異に感じたのがこの点である。
経済産業省資源エネルギー庁の担当者も、戸建住宅への普及策は雄弁に語るのだが、マンションの話になると「なぜなんでしょうねえ…」とトボケてしまう。しつこく食い下がると「NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)で、今年度から集合住宅への普及に向けた研究プロジェクトに着手している」と言って逃げてしまった。
仕方がなくNEDOの担当者に聞くと、2006年度からスタートしている太陽光発電新技術等フィールドテスト事業に、今年度から集合住宅を対象に加えたところだという。当然、マンションへの普及が進まない原因も分析していると思いきや、「集合住宅と言っても対象は賃貸で、分譲は想定していない」との答え。分譲を除外している理由を尋ねると、ようやく「今の制度では、マンションも、戸建と同じように住戸ごとに太陽光発電システムを取り付けなければならないからですよ」と答えた。
家庭に電力を供給できるのは電力会社だけ
集合住宅で、住戸ごとに個別にシステムを導入しなければならないというのは、どういう意味なのか。マンションに太陽光発電を導入するのなら、屋上などに巨大な太陽光パネルをドーンと設置し、必要な住戸に電気を分配するという方法を誰もが考えるだろう。個別にシステムを導入するよりも効率的なのは間違いないはずだが、現在は法的に認められていないのである。
理由は簡単。日本では家庭向けの電力自由化が実施されておらず、各家庭に電気を供給できるのは、自家発電を除けば、全国10の電力会社だけだからだ。太陽光発電システムをマンション住民で区分所有すると解釈すれば、戸建と同じ自家発電の目的と同じように思えるが、認められていないらしい。マンション管理組合が、太陽光発電システムを所有して発電事業を行う特定規模電気事業者(PPS:電力小売新規事業者のこと)として、各家庭に電気を供給していると見なされてしまうようだ。
マンション向けは個別システムの集合体
これまでも集合住宅向けの太陽光発電システムがなかったわけではない。福岡県北九州市にある芝浦特機が開発して、賃貸マンション「ニューガイア」シリーズを展開している。新エネルギー財団が主催する「新エネ大賞」で、第10回(2005年度)の経済産業大臣賞(大賞)も受賞している。
インターネットで調べて写真を見ると、マンションの屋上一面に巨大な太陽光パネルが設置されて、一見すると、マンション全体でシステムを利用しているように見える。しかし、巨大な太陽光パネルは、住戸ごとに持分がきちんと分けられており、送電系統も住戸ごとに別々だ。基本的には住戸ごとの個別システムの集合体で、システムをコントロールするパワーコンディショナ、各住戸の屋内分電盤までの送電線、余った電気を電力会社に売るための電力量計を住戸ごとに設置する必要がある。
このタイプは「小規模多数連携システム」と呼ばれている。集合住宅を新たに対象に加えたNEDOの太陽光発電新技術等フィールドテスト事業に採択されたテーマが10月下旬に発表されたが、39プロジェクトの中で集合住宅の採択はベンチャー企業のあひか(株)が提案した、わずか1件だけ。シャープや京セラなどの太陽光パネルメーカーも、戸建住宅向けは製品化しているが、集合住宅用は芝浦特機などに太陽光パネルを供給するだけで、自ら商品化していない。
((中)につづく)
◆太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン
http://www.mlit.go.jp/report/press/sogo10_hh_000019.html
◆NEDO太陽光発電新技術等フィールドテスト事業(2次)採択結果
https://app3.infoc.nedo.go.jp/informations/koubo/koubo/FF/nedokouboplace.2008-03-13.7956920936/nedokoubo.2008-10-20.8214255218/
「なぜ、マンションには太陽光発電システムが導入されないのか?」―そんな単純な質問に、太陽光発電の普及に取り組んでいる関係者の誰もが口ごもって、はっきりと答えない。今回の取材を通じて、最も奇異に感じたのがこの点である。
経済産業省資源エネルギー庁の担当者も、戸建住宅への普及策は雄弁に語るのだが、マンションの話になると「なぜなんでしょうねえ…」とトボケてしまう。しつこく食い下がると「NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)で、今年度から集合住宅への普及に向けた研究プロジェクトに着手している」と言って逃げてしまった。
仕方がなくNEDOの担当者に聞くと、2006年度からスタートしている太陽光発電新技術等フィールドテスト事業に、今年度から集合住宅を対象に加えたところだという。当然、マンションへの普及が進まない原因も分析していると思いきや、「集合住宅と言っても対象は賃貸で、分譲は想定していない」との答え。分譲を除外している理由を尋ねると、ようやく「今の制度では、マンションも、戸建と同じように住戸ごとに太陽光発電システムを取り付けなければならないからですよ」と答えた。
家庭に電力を供給できるのは電力会社だけ
集合住宅で、住戸ごとに個別にシステムを導入しなければならないというのは、どういう意味なのか。マンションに太陽光発電を導入するのなら、屋上などに巨大な太陽光パネルをドーンと設置し、必要な住戸に電気を分配するという方法を誰もが考えるだろう。個別にシステムを導入するよりも効率的なのは間違いないはずだが、現在は法的に認められていないのである。
理由は簡単。日本では家庭向けの電力自由化が実施されておらず、各家庭に電気を供給できるのは、自家発電を除けば、全国10の電力会社だけだからだ。太陽光発電システムをマンション住民で区分所有すると解釈すれば、戸建と同じ自家発電の目的と同じように思えるが、認められていないらしい。マンション管理組合が、太陽光発電システムを所有して発電事業を行う特定規模電気事業者(PPS:電力小売新規事業者のこと)として、各家庭に電気を供給していると見なされてしまうようだ。
マンション向けは個別システムの集合体
これまでも集合住宅向けの太陽光発電システムがなかったわけではない。福岡県北九州市にある芝浦特機が開発して、賃貸マンション「ニューガイア」シリーズを展開している。新エネルギー財団が主催する「新エネ大賞」で、第10回(2005年度)の経済産業大臣賞(大賞)も受賞している。
インターネットで調べて写真を見ると、マンションの屋上一面に巨大な太陽光パネルが設置されて、一見すると、マンション全体でシステムを利用しているように見える。しかし、巨大な太陽光パネルは、住戸ごとに持分がきちんと分けられており、送電系統も住戸ごとに別々だ。基本的には住戸ごとの個別システムの集合体で、システムをコントロールするパワーコンディショナ、各住戸の屋内分電盤までの送電線、余った電気を電力会社に売るための電力量計を住戸ごとに設置する必要がある。
このタイプは「小規模多数連携システム」と呼ばれている。集合住宅を新たに対象に加えたNEDOの太陽光発電新技術等フィールドテスト事業に採択されたテーマが10月下旬に発表されたが、39プロジェクトの中で集合住宅の採択はベンチャー企業のあひか(株)が提案した、わずか1件だけ。シャープや京セラなどの太陽光パネルメーカーも、戸建住宅向けは製品化しているが、集合住宅用は芝浦特機などに太陽光パネルを供給するだけで、自ら商品化していない。
((中)につづく)
◆太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン
http://www.mlit.go.jp/report/press/sogo10_hh_000019.html
◆NEDO太陽光発電新技術等フィールドテスト事業(2次)採択結果
https://app3.infoc.nedo.go.jp/informations/koubo/koubo/FF/nedokouboplace.2008-03-13.7956920936/nedokoubo.2008-10-20.8214255218/
この記事に対するコメント
更に、電力会社買取り法案も将来東京電力が原発の影響で倒産すれば何処が買い取るのでしょうか? 買取りには期待しない方が良いと思います。 よって更なる電力量UPの効率化が必然です。
設置することは充分可能となります。仕組みは・・・太陽光パネル設置代は全て市が全額負担し、住民自身が現在まで支払ってきた電気代の平均額を(一年間の平均額)市に毎月支払い、市は住民が支払うお金でローン金額(20年ローン)を自転車操業的に企業に支払うという方法です。現在の法律では、余った電気代は住民自身が受け取り、恩恵を受ける形になると思います。そして市側のメリットは、住民が現在まで支払ってきた電気代の受取額が、企業に支払うローン代金よりも多ければ、市は儲かることになり、市の財政に貢献することになります。因みに私の住む市に提出予定の文面の一部を書き入れます。・・・・以下文面です。
先日のテレビでは、太陽光パネルの設置費用は、105万円という価格で放送されていました。つい最近まで、200万円とか150万円と言われていたが・・・
と、すると大量受注をすると、蓄電池も含めて、150万円くらいで収まるという計算になります。
《太陽光パネル+蓄電池》の、一台分が、150万円掛かったとして》・・・・・・・・
「20年ローン」を組み 利子を入れないで計算すると・・・・・
150万÷240ヶ月(20年)=6250円。(一台につき交野市が支払う一ヶ月分の支払額・・・・ )
交野市の世帯数は、平成20年度によると、28180軒です。
団地、一戸建て、マンションなどそれぞれの状況は異なりますが、単純に世帯数で計算すると、・・・・・
28180世帯×6250円 = 176,125,000円(1億7千6百12万5千円) ≪交野市が負担する一ヶ月分の太陽光パネル代金》
例えば2万軒が取り付けた場合の一ヶ月のローン代金は・・・・・・・・
20000×6250円=(一億二千五百万円)となります。
しかし20年ローンの内の、一世帯分の負担額「6250円」は、通常、住民が支払う電気料金よりは、少なくても、500円〜1000円位安いか?ほぼ同額程度の料金です・・・夏や冬の平均的電気料金も一ヶ月に一万円を超えて12000円〜15,000円位支払っている家庭が多いそうなので、夏や冬の場合は、少なくても電気料金よりは、ローン代金の方が、5000円〜8000円位下回る計算になります。
従って、住民から徴収する電気料金よりも、交野市が負担するローン代金の方が大幅に少なくなるので、交野市の財政は黒字が増大し、財政難を乗り越える助けになります。設置の際は、交渉を上手にすることが何よりも大切です。
因みに太陽光パネル+蓄電池一台分が200万円で計算すると・・・・
一ヶ月分のローン代金は・・・・
200万円÷240ヶ月=8333円・・・・ということになり、それでも赤字にはなりません。
太陽光パネル設置前の、毎月の電気料金を、一年分の電気料金の平均電気料金と決めて一軒一軒別計算する。(基本的には一律にパネル数の増減を検討)住民が交野市に支払うようにすれば、毎月交野市が抱えるローンは相殺されることになり、上記のように黒字にすることも可能です。支払う方法は、住民からまず徴収し、その後に交野市がローン代金を支払う(自転車操業のかたち)ようにする。
以上・・・文面の一部です。
因みに2万軒が取り付けて、市に一ヶ月に500円の黒字がでたとしても一千万の黒字となります。
要はメリットがあれば市は動きます。そして要望を最終的には全国に拡大していけば、電力不足は解消されます。多分進めていけば電力会社の抵抗にあうと思います。従って、なるべく抵抗に合わないように、市単位で密かに進めていけば企業が日本から逃げていく状態から脱出できます。私は素人で分からないことだらけです。私に協力していただけると非常に有難いです。私のメールは以下の通りです。
hiromimatsui@sizen-life.com
日本の現状を心配しています。孫正義氏が農地に太陽光パネルを敷き詰める計画で、農地を買う交渉を進めています。あらゆる面で非常に危険だと思います。買い取った土地は本当に太陽光発電に当てられるのかどうか?また田畑を太陽光にしてしまうと、食料不足に対応できるのでしょうか?・・以上です。