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米国住宅の価格安定化政策が不可欠―国際土地政策フォーラムで米ウィスコンシン大教授が講演

【2008-10-29:千葉利宏】
kokusaiforam 国土交通省主催の国際土地政策フォーラムが10月28日、「不動産投資が地域の活性化に果たすべき役割」をテーマに都内で開催された。欧米から4人の講演者が招待され、うち米ウィスコンシン大学マディソン校不動産センター長のティモシー・リディオ教授は米国の不動産・金融危機について「原因は住宅価格の下落と過度なレバレッジにある」としたうえで「米国の住宅価格が底を打たない限り、状況は完全な安定化には向かわない。住宅価格安定化政策について抜本的な対策が必要」との考えを示した。
 フォーラムでは、リディオ教授のほか、経済開発協力機構(OECD)地域開発政策委員会議長のマーク・ドラベンストット米ミズーリ大学教授、OECDパブリックガバナンス・地域開発局のマリオ・ペッチーニ次長、英リバプール・ビジョンのチーフ・エグゼクティブのジム・ギル氏らが講演。引き続き、国交省土地・水資源局の押田彰局長がコーディネーターとなり、東洋大学大学院公民連携専攻の根本祐二教授が加わってパネルディスカッションが行われた。

 リディオ教授の講演はいま直面する金融危機の問題を真正面から取り上げた内容で、米国の金融危機の原因を住宅価格の下落と過度なレバレッジにあると分析。「解決策はレバレッジを下げることだが、実行するのは難しく、時間がかかる」とし、バーナンキFRB議長、ポールソン財務長官など米政府の対応について「金融市場においてリスク分散が行われているとの間違った認識に固執したことで、対応が後手に回った」と批判した。

      【米国住宅価格の推移】
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 リディオ教授によると、米国の住宅価格は、下落幅が地域によってバラツキが生じており、07年第2四半期から08年第2四半期までの1年間で西海岸地区のカリフォルニア州、ネバダ州で20%以上、南部のフロリダ州、東部のマサチューセッツ州などで10%以上も下落する一方、中部地区ではほとんど下がっていない。サブプライムローンは、住宅価格の下落率が大きい西海岸地区、フロリダ州、東部地区に集中しているが、サブプライム焦げ付きは中部のコロラド州や自動車生産の中心地であるミシガン州やイリノイ州などで集中して発生。住宅ローンの延滞率も金利変動型のサブプライムローンで40%近くまで急激に上昇しており、「極めて深刻な状況にある」。

 今回の金融危機では、住宅ローンの証券化が発端となったことから、証券化手法そのものを問題視する意見も出ている。リディオ教授は「証券化は借入資本を引き寄せ、再販売することで投資を促進する重要なメカニズム。証券化の手法が問題ではなく、銀行など金融機関が不透明だった」として、そうした批判を一蹴。証券化によるリスク分担のメリットばかりに目を奪われて、リスクがどこに存在するのかが分からぬままに、過度なレバレッジをかけた金融機関側の問題を指摘した。

 東洋大学の根本教授も今回の金融危機について「リスク管理の原則を忘れていたところに原因があった」と同様の意見を述べる一方で、「目に見えないリスクを回避しようとして過剰な規制を設けようとするのは問題。十分なバランスを考慮する必要がある」と、過度な規制強化への懸念も示した。

 日本でも、バブル崩壊後の地価暴落で不良資産問題が表面化。大都市圏の地価が安定化するまで、金融機関の不良債権処理が完了せず、不安定な状況が続いた。今回の金融危機でも、リディオ教授が指摘するように米国の住宅価格の安定化をどのように図っていくかが重要な課題となりそうだ。

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