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電子メール、ブログ、そしてWEB会議―新型コロナウイルスがREJA活動にもたらした変化(3)【2020-08-02:千葉利宏】

 新型コロナで日本不動産ジャーナリスト会議(REJA)も新たなIT化の取り組みに迫られた。2004年度から私は幹事・事務局に就任してREJAのIT化に取り組んできたが、2020年度の定期総会をWEB会議システムを使って開催することになるとはコロナ前までは予想していなかった。普段は「日本でのIT化の取り組みは世界から大きく出遅れている」といった記事を書いていても、実際にIT化を進めようとすると様々な問題が生じる。

 2019年で設立30周年を迎えたREJAには70代、80代の会員も参加しており、ITが苦手な人もいる。そのため組織内でIT化を進めようという動機が働きにくく、IT化をけん引できるスキルを持った人材も限られる。「いまだに電話とファックスで仕事している」と言われてきた不動産・住宅業界と変わらない状況にあったわけだ。新型コロナはあらゆる組織で否応なしにIT化を進めざるを得ない状況を生み出している。

■2004年に往復はがきから電子メールに切り替え

 日本の住宅評論家の草分けの一人と言われていた加藤憲一郎氏が、2020年2月26日に享年89歳で亡くなった。私は現役時代の活躍ぶりを全く知らないので、REJAの活動を通じて交流がある程度だった。最後まで原稿は手書きで、パソコンもメールも使わず、連絡は電話かファックスという方だった。

 REJAの主な活動は、企業経営者や有識者などを講師に招いて月1回のペースで開催している研修会のほか、不定期に行う見学会や講演会などで、その内容は設立当初から変わっていない(私が入会する2000年以前は先輩から聞くだけだが…)。2004年に幹事・事務局を引き受けるまでは、研修会の案内と出欠確認は往復はがきを使って行われていた。会計業務も昔ながらの出納帳に手書きで記入して管理していた。

 こうした事務局業務の一部を友好関係にあった財団法人に協力してもらっていた。2001年に始まった特殊法人改革もあって従来のような協力は難しいと新米幹事の私には内々で伝えてきていた。しかし、往復はがきでの出欠確認などの事務をそのまま引き継ぐのでは負担が重い。そこでREJAの連絡は全て電子メールに切り替えることを了承してもらった。会計業務もとりあえずパソコンの表計算ソフト「エクセル」を使うことにした。

■電子メールができない会員への対応は?

 財団法人では自宅住所と電話番号を記載した会員名簿は管理してくれていたので、一人一人に電話をかけてメールアドレス登録を依頼した。それが同時に会員継続の意思確認を行うことにもなり、幽霊会員の何人かが退会を表明した。最後にメールを使えない会員が、加藤さんを含めて5、6人いることが分かった。

 メールが使えない会員もファックスは持っていたので、当面はファックスで連絡を取ることになった。メールの案内文をプリントアウトしてファックスを流すだけでも手間がかかる。メール会員の中にも返信はファックスという人もいるし、秘書に代行してもらっている人もいる。高齢者にとっては電子メールに移行するだけでもハードルが高いことを認識した。

 加藤さんも「都内の研修会にはもう出られないが、自宅近くのUR都市機構との会合があったら出席したいので、その時だけ連絡してほしい」と言われ、ファックスを送らなくなった。残念ながら民主党政権の時にURの経営体制が変わって、URとREJAとの定期会合は開催できなくなり、加藤さんに案内を出すことはできなかった。

■2006年にブログでホームページ開設

 電子メールの次はブログである。2005〜6年頃からブログ形式でWEBサイトを安価に開設できるサービスが登場し始めていた。これを利用してREJAを紹介するホームページと、記事などを掲載するニュースサイトを作成して、2006年11月に開設した。2009年に設立20周年を控えて、REJAの情報発信力を強化するのが目的だった。

 ブログの記事更新は慣れてしまえば簡単ではある。REJA会員の中にも個人でブログを開設している人が5、6人いる。REJAニュースサイトは、自分でブログを開設するのは面倒な会員に利用してほしいと考えていたが、自主的に活用してくれる人はなかなか現れない。ただ1人、マンション管理評論家の草分けである村井忠夫氏が2006年11月から、88歳となる2019年7月まで月3回ペースで477本の記事を掲載してくれた。

 それ以降、REJAではIT化の新たな取り組みに着手することはなかった。今回のコロナ問題でも5月25日に政府の緊急事態宣言が解除になり、6月19日に政府の外出自粛要請が緩和になれば、定期総会をギリギリで通常開催できると考えていた。

 7月1日の三菱地所の記者会見に出席したあと、日比谷のプレスセンタービルに寄ってみることにした。REJA定期総会の会場となる施設の様子を見たかったのだが、日本記者クラブの会見室で行っている記者会見も厳しく人数制限されており、その他の会議室の使用も定員の半分以下でしか利用できず、談話室なども閑散としていた。

■2020年、オンライン会議を導入へ

 「千葉ちゃん、元気?」と、プレスセンターに行こうとしている矢先に電話がかけてきたのがREJA幹事の川上湛永氏だった。現在は全国マンション管理組合連合会(全管連)の会長を務めており、「全管連でも通常の会合を諦めてWEB会議システムを導入することにしたよ。REJAでも、そうするしかないんじゃないか?」とアドバイスしてくれた。

 すでに6月下旬から新型コロナの感染者数が増え始めており、プレスセンターの様子を確認して、通常開催は諦めるざるを得ないと思った。翌7月2日にはREJA幹事会に「2020年度の定期総会はWEB会議システムを導入して行いましょう」とメールし、了解してもらった。

 私もいろいろなWEB会議やWEBセミナーに参加していたが、自分がホスト役でミーティングを設定した経験はゼロ。とりあえず簡単に使えると評判で、不動産・住宅業界でも利用する企業が増えていたZoomを使うことにした。REJA会員でも、Zoomなら使った経験のある人が多いと思ったからだ。

■Zoom導入が会員に及ぼす影響は?

 まずは自分を含めて幹事9人がZoomを使えることを確認する必要があった。7月3日の夕方に「REJA幹事会Zoom1」の名称でミーティングをセットして繋いでもらうことに。この時は仕事などで3人が不参加だったが、うち1人は会社のパソコンからはZoomが利用できないとの理由だった。

 参加者6人のうち4人は問題なく繋がったが、1人は音声は聞こえてくるが映像が出ない。1人はパソコンにウェブカメラとマイクが装備されておらず、使い慣れない家族のタブレットPCを借りて、何とか繋げることができた。

 原稿執筆やメールなどで普段からパソコンを使っていても、新しいアプリを入れて利用環境を整えるのは手間がかかる。ITに詳しい人が傍にいれば良いのだが、リモートで自分一人で問題解決するのはある程度のITスキルが必要になる。電子メール導入の時と同様に、Zoomを使えずに参加できない人がどれぐらいいるのかが心配だった。

■REJA活動のオンライン化を会員はどう評価するか?

 最初の幹事会で、7月20日に定期総会を開催することを決めたものの、問題はオンラインの定期総会にどれぐらいの会員に参加してもらえるかである。

 定期総会までに議案書の作成などと並行して、予行演習のミーティングをセットして参加を呼び掛けたり、希望者には個人的に動作確認に付き合ったり、ネットのトレーニングビデオを紹介したりといったZoom対策を行った。残念ながら予行演習の参加者は数人程度で、定期総会の参加人数はピークで25人程度にとどまった。

 現在の新型コロナの感染状況を考えれば、今後もしばらくはWEB会議システムを使って、REJAの活動を展開するしかないだろう。オンラインだけの交流で、今後もREJAの活動に参加し続けたいと思ってくれる会員はどれくらいだろうか。これからしばらくは試行錯誤を続けることになると思っている。
(おわり)

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