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不動産・住宅業界のオンライン化が遅れた訳―新型コロナウイルスがREJA活動にもたらした変化(2)【2020-07-28:千葉利宏】

 日本不動産ジャーナリスト会議(REJA)が2月26日開催予定の研修会を延期した週から、民間企業の記者会見やイベントも事実上ストップした。研修会延期を朝から検討していた2月25日の14時前には、優良ストック住宅推進協議会(スムストック)から2月28日に開催する予定の報告会「スムストックレポート2020」の開催中止の連絡が届いた。その後も一部を除き、会見や内覧会などのイベントは中止が相次いだ。

 民間企業の記者会見などもオンライン化へと舵を切っていくのだが、もともとIT化への取り組みが遅れていた不動産・住宅業界では対応に“もたついた”との印象は否めない。私のところに不動産・住宅業界から全ての記者会見などの案内が届いているわけではないが、不動産・住宅各社がメディア対応のオンライン化をどう進めてきたのかを振り返ってみる。

■2月に非対面接客の記事を書いた訳

 働き方改革、労働生産性向上などの観点から、不動産・住宅業界でも営業活動の効率化に役立つITツールが注目されるようになっていた。2年ほど前から「不動産・住宅業界にもインサイドセールスの波!」という記事を書こうと思って準備していたのだが、大手企業にヤル気が見えないので、お蔵入り状態になっていた。

 新型コロナの感染拡大が始まった時、私が真っ先に考えたのが「これで対面営業がやりにくくなる」ということだ。政府の第一回専門家会議が開催された翌日の2月17日には原稿を書きあげて東洋経済オンライン編集部に送信。2月24日付けで「不動産の『来店不要取引』がいま俄然注目の訳―普及局面に加え、新型コロナでも注目されるか」が掲載された。

 コロナに関連して不動産・住宅業界の非対面営業の記事がメジャーなメディアに掲載されたのは、私の記事が最も早い方だろう。記事掲載後に複数の企業からはそう言ってもらったが、引っ越しシーズンの3月、4月を控えて不動産・住宅業界にはコロナ対策を急ぐよう促す必要があると思ったからだ。

 しかし、大手で「マンション販売のオンライン接客を本格稼働」とのニュースリリースを見たのは、三菱地所レジデンスの5月29日付けが最初。6月1日付で住友不動産でも「リモート・マンション販売導入」、6月12日付で東急不動産でも「オンライン接客導入」を発表。私の記事が出てから対策が講じられるまでに4か月ほどの時間がかかった。

■3月に大和ハウス工業が業界初のオンライン会見

 本業でのコロナ対応と同様に、メディアへの情報発信もオンライン化に手間取っていると感じた。コロナ以前から、個人的にはFacebookやLineのビデオ通話が使われていたし、私も仕事ではSkype、Webex、Teamsなどを使う機会があったので、すぐに企業の記者会見もオンライン化すると考えていた。それがダメでもYouTubeで流すという方法があると思っていた。

 毎年1月1日時点での公示地価が発表される前には、主要企業は記者向けの勉強会を開催している。3月2日に大和ハウス工業から13日に勉強会を開催するとの案内が来たが、2日前になって急きょオンライン配信に変更になった。Jストリームのビデオ配信サービスを利用し、質問はメールで受け付けて後日回答するという方式だった。これが不動産・住宅業界では最初のオンライン会見だっただろう。

 しかし、それ以降、3月、4月と記者会見の案内は全く来なくなった。IT業界では、3月27日にソフトバンクと講談社とのオンライン会見がYouTubeを使って配信されたが、4月7日に政府の緊急事態宣言が出たこともあってメディアへの情報発信は激減した。

■5月の決算説明会を中止した不動産大手

 「5月になれば、3月期決算の記者会見を開かざるを得ないから、オンライン会見も一気に増えるだろう」―そう期待していたのだが、不動産・住宅業界には当てはまらなかった。三井不動産、三菱地所からは業界紙や専門誌向けの決算説明会を中止するという案内が届いた。非上場の森ビルからも中止との連絡があった。あとで確認すると住友不動産でも決算説明会は中止していた。

 住宅業界は、大和ハウス工業が、オンライン株主総会などで利用されているリンクコーポレイトコミュニケーションズのサービスを使って5月15日に決算説明会を開催したが、旭化成ホームズは中止。1月期決算の積水ハウスは、3月6日の決算説明会を記者クラブなどの現役記者に限定し、規模を縮小して開催した。

 不動産・住宅業界に比べると、建設業界の方が対応は良かった。大成建設、鹿島、清水建設ともに、アナリスト向けに説明会で慣れているテレカンファレンスシステムを使って電話での記者説明会を行った。また、5月13日の大成建設の社長交代会見は、ブイキューブのビデオ会議システムを使ってオンラインで実施した。

 ちなみに国土交通省のオンライン対応を振り返ると、審議会・検討会は2月中は通常通りに開催していたが、3月に入るとWEB会議へ移行。一部に開催延期や書面持ち回りの会議もあったが、3月4日に開催された第3回土砂災害防止対策小委員会が最初のWEB会議だった。

 私も、4月30日の社会資本整備審議会計画部会、6月12日の社会資本整備審議会住宅宅地分科会をWEB会議システムで傍聴したが、国交省で使用しているSkype for Businessは途中で何度もフリーズして困った。Skypeは欧州発祥で、のちに米マイクロソフトに買収されたが、2017年にマイクロソフトが新たにTeamsをリリース。最近はTeamsにシフトしているように思えるので、見直した方が良いのではないかと思っているのだが…。

■コロナ第二波でオンライン化は進むのか?

 5月の決算発表が終わった後も、不動産・住宅業界では、記者会見のオンライン化は進んでいない。

 5月25日に政府の非常事態宣言が解除されると、それを待っていたようにマイクロソフトやジョンソンコントロールズなど外資系企業のオンライン記者会見が始まった。6月に入ると、日本企業でも不動産・住宅向けITサービスを提供するLIFULLや、不動産テック企業のGAテクノロジーズなどがZoomを使って記者会見を行った。

 他に大東建託、アキュラホームなどがZoomでの会見を開催。決算説明会を中止した旭化成ホームズも6月29日に記者向け勉強会をZoomで開催した。しかし、三井不動産、三菱地所、住友不動産、積水ハウスなどの大手からは、オンライン記者会見の案内は全く来ていない。

 政府の外出自粛要請が6月19日に解除されるのを待っていたように、リアルな記者会見の案内が届くようになった。6月30日に住友不動産が西新宿の住友ビルに完成したアトリウムの会見と内覧会、7月1日に三菱地所がマンション管理用アプリに関する会見と続き、7月10日に大和ハウス工業が横浜で物流施設の記者会見を行った。

 大手企業は、6月の株主総会が終わるまではコロナの影響などの厳しい質問を避けるために記者会見は開催したくなかったのだろう。そのタイミングで政府の自粛要請も解除になったので結果的にオンライン会見をやらずに済んだわけだが、7月に入ると東京都から新型コロナの感染者数が急増。再び通常の記者会見を開催できる状況ではなくなった。果たして今後はどう対応するだろうか。
(つづく)

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