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企業がコロナ対策に奔走した日の出来事―新型コロナウイルスがREJA活動にもたらした変化(1)【2020-07-26:千葉利宏】

 新型コロナウイルスの感染拡大は、2019年9月で設立30周年を迎えた日本不動産ジャーナリスト会議(REJA)の活動にも少なからぬ影響を及ぼしている。具体的には2月26日に東京・日比谷の日本記者クラブで開催する予定だった第189回研修会を延期。その後も、月1回ペースで行ってきた研修会を再開できず、例年6月に開催する定期総会をZoomを使ったWEB会議で行うことを決め、7月20日に実施した。コロナ禍が始まって半年が経過したところで、これまでの活動を振り返る。

 新型コロナが日本のメディアを賑わせるようになったのは1月23日の「中国・武漢閉鎖」からだろう。26日には中国からの邦人帰国支援が決定され、29日には第1便が帰国。30日に政府は新型コロナウイルス感染症対策本部を設置して本格的な対策に乗り出した。

 その後、2月5日には横浜港に入港したクルーズ船での集団感染が発覚し、15日には屋形船での集団感染も明らかになった。しかし、2月の段階では国内の経済活動は通常通りに行われており、2月26日に予定していた研修会も三菱地所の高野圭司執行役常務を講師に招いて開催するつもりだった。

■政府の基本方針決定に企業が反応

 「こりゃ、大変なことになったなあ」と思ったのは、2月25日の新聞朝刊で「政府が専門家会議の見解を受けて基本方針を本日、決定」との記事を見たからだ。政府の基本方針が出れば、企業では何らかの対応策を打ち出さざるを得ない。「すでに先週のうちに大企業では何らかの対応策を準備しているはず。三菱地所なら当然だろう。もう政府の基本方針に沿って動き出しているかもしれない」と思ったからだ。

 三連休明けの25日の朝7時にREJA幹事会メンバーに「明日の研修会は延期しなくても良いですか?」と題するメールを送信した。
 「明日の研修会の件でメールします。政府が今日にも感染拡大に向けた対策を公表する予定です。昨日の会見でも、ここ1、2週間が正念場という話が出てきました。通常の記者会見は緊急性のある行事ではありますが、研修会は緊急性のある行事でもありません。三菱地所の方に万一のことがあってもいけませんから、延期という選択肢もあるのではないでしょうか?いかがしますか?」

 真っ先に賛同したのが大越武幹事だった。新聞社を辞めた後、上場企業の役員を務めた経験があるため「危機管理」の重要性を認識していたからだろう。前日の夜の段階で、延期した方が良いと判断して、筆者の携帯に留守電を残していた。

■ジャーナリストとしての危機管理対応

 REJAの研修会は私的な集まりではある。しかし、講師に企業の役員を招いていること、会場に日本記者クラブを使用していること、会員にはメディアのトップや現役記者も参加していること―などから「それぞれが自己責任で…」との理屈は通らないだろうと考えた。

 さらに三菱地所から先に言われて研修会を延期することになれば、のちのち「メディアの人間の集まりなのに危機感が薄い」と言われる可能性がある。社会に警鐘を鳴らす役割を担う記者として、それは避けたかった。

 まだREJA幹事会内の意見はまとまっていない段階で、昼前の11時に三菱地所広報部長の佐藤元洋氏にメールして、次のことを確認した。
・政府の基本方針に基づいて御社ではどのような対応策は検討しているか?
・感染拡大防止の観点から、研修会の延期を考えているが、御社の考えは?
・延期した場合、時機を見て高野さんに再び講演を依頼することは可能か?

 すぐに佐藤さんから私のスマホに連絡があった。政府の方針に基づいて「対外的な会合への出席見合わせ」という対応策を社内通知するところで、明日(26日)にビル協(日本ビルヂング協会連合会)で予定されていた会合も中止になった―と説明。「コロナ問題が収束したら、もちろん講演は行います」と確約してくれた。REJA側からの延期申し出は渡りに船という感じだった。

 その後、電話などで複数の幹事と意見交換し、15時に研修会延期のメールを幹事全員に送付。18時には会員全員に研修会延期をメールで通知した。日本記者クラブにも会議室のキャンセルを連絡したが、しばらくしてキャンセル料(使用料の半額)の請求書が届いた。

■最初のターニングポイントは2月25日

 政府の基本方針が決定したあと、翌26日にイベントの2週間自粛要請、27日には安倍首相が突然の一斉休校要請と続いた。東洋経済オンラインに7月26日に掲載された記事「立ち食いそばから見える東京のコロナ事情」を読むと、「江戸切りそば ゆで太郎」の池田智昭社長がコロナによる売り上げへの影響が出たのは「2月27日ですね。はっきり覚えています」と答えている。政府の基本方針やイベント自粛要請が出て企業が一斉に動き出した結果が表れたのだろう。

 その後も、WHO(世界保健機構)がパンデミック宣言を行ったのが3月11日。改正新型インフルエンザ特別措置法が成立したのが13日。東京五輪の延期決定が24日に出され、政府の緊急事態宣言(4月7日)でステージが大きく上がることになる。

 2月25日の段階で研修会延期を判断したのは微妙なタイミングだった。とは言え、大企業を中心にコロナ対策が動き出していたのは間違いない。この日を境に日本社会の景色が大きく変わったように感じた。
(つづく)

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