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日本企業の負の体質「飛ばし・丸投げ・先送り」をなくすには――オリンパスの損失隠し事件を見て

 【2011-12-14:大越 武】オリンパスの巨額の損失隠し事件は、1990年のバブル崩壊時の日本企業の得意裏技「飛ばし・丸投げ・先送り」の三悪を、今また再現して見せているようだ。企業会計制度を始め、コーポレート・ガバナンス、内部統制システム、コンプライアンス等がこれだけ厳しくなってもなお、10年以上も損失を飛ばし、先送りして、隠し続けられたということ自体が驚異で、これまで積み上げてきたこうした企業改革の仕組みをさらに抜本的に変えない限り、今後もこうした問題が十分起こりうるのではなかろうか。日本の企業経営体制の体質に深く広く根ざしているだけに、「飛ばし・丸投げ・先送り」の三悪を根絶する再発防止策は、なかなか妙案がないようで、やっかいな問題ではある。 
  オリンパスの第三者委員会が12月6日、公表した「調査報告書」をじっくり読んだ。全文185ページ、別紙19ページにわたる膨大なレポート。その要約版でさえ24ページにわたるが、海外に飛ばすという手の込んだ操作、配当優先株、ワラントの買取り工作など難解ではあるものの、実に読みごたえのあるストーリーとなっている。損失分離の飛ばしスキーム、M&Aを利用した複雑な損失解消スキームの実態を追い、飛ばし発生の原因分析、コーポレート・ガバナンスと内部統制システムの実態とその評価、さらには、11項目にわたる再発防止策を提言している。

 発端は「1985年ころ」というから、今から26年も前。バブル前夜の時期に始まり、90年のバブル崩壊時から損失が積もりだし、99年から「飛ばし」を開始して、よくも今まで発覚しないできたものだ。この間、関連会社や子会社等に損失を丸投げして飛ばしたものの、隠しきれずに粉飾決算や虚偽記載などの不祥事件で消え去った企業は、山一証券を先頭に北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行などの金融機関、カネボウ、ライブドア、三洋電機と枚挙にいとまない。

 不良資産、不良債権を多く抱え込んだ不動産会社にしても、この間は身動きとれず、身を切り刻んでウミを出し、大胆なリストラを断行した。特に不動産大手各社はバブル時、自社グループの中に“都合のいい銀行”(ファイナンス会社)をつくってしまっていたので、それみたことか不良債権のうず高い山となり、その処理・処分・解散には数年間にわたって難行苦行、呻吟した。しかし、各社とも保有資産に助けられ、数千億円という規模の大きなウミを正面から取り出し、数期にわたる赤字決算で乗り切り、ようやく今日の盤石の企業体質をつくり上げてきたのも、記憶に新しい。

 オリンパスの第三者委員会でのレポートで興味深いのは、最後に触れている11項目にわたる「再発防止策」だ。「監査法人と会社との関係のあり方の検討」「社外取締役、社外監査役の充実」「監査役、監査役会の意識改革」「ガバナンス刷新委員会、経営監視委員会等の設置」など、ほぼ再発防止策のすべてを網羅し、具体的な問題提起や改善の提言をしている。しかし、これらの提言をすべて、厳しく実施したとしても、「飛ばし」や「丸投げ」「先送り」の再発は防ぎきれないのではないか、と危惧している。

 なぜなら、肝心の経営を監視する監査法人や監査役のあり方の抜本的なシステム・仕組みづくりが提言されていないからだ。「検討」や「充実」「意識改革」「設置」をするだけでは、単なるこれまでの改革の延長線上に過ぎず、なんら構造問題にメスを入れていない。多少の効き目はあっても、再発防止の決め手にはならないのではなかろうか。例えば、監査役の役割一つとってみても、監査役はその会社・社長からの報酬ではなく、まったく別の組織・機関からの報酬にするとかの思い切った抜本策が、そろそろ必要な時期にきているのではなかろうか。

 小生、ジャーナリストの端くれにいながら人生の中途で、たまたま最近まで一部上場会社の役員や、別の上場会社の監査役をしていた貴重なプレーヤーの実務経験からたどり着いた率直な考えであることを、最後に付しておこう。

この記事に対するコメント

拝読いたしました。

「決算書」を作成する環境の密室性を打破することは本当に可能なのかと、自問自答しております。
藤原 | 2012/01/04 12:41 PM
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