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福祉国家型経済モデルはどうなる―サービス付き高齢者住宅法案、閣議決定へ

  【2011-02-04:伊能 肇】重度の要介護対象者や徘徊する認知症患者など暗いイメージばかりが先行する「高齢者住宅」だが、そんなイメージの払拭にもなりそうな法律案が固まり、8日にも閣議決定される見通しとなった。「高齢者の居住の安定確保に関する法律等の一部を改正する法律案」がそれ。これまで高齢者向けに供給されてきた高円賃・高専賃・高優賃を廃止して「サービス付き高齢者住宅」に一本化し、都道府県にその登録制度を創設するというのが柱。“サービス付き”住宅がコミュニィテーの狭間に落ち込んだ独居老人を救済する。

  日本での高齢社会は、これまで多くの場合、高齢化のスピードが注目されてきたが、本格的な高齢社会に突入した今日、高齢人口・世帯の増加が解決すべき課題として浮上してきている。社会保障費の急激な増加などもその一例だが、2010年から2020年までの10年間に高齢人口は約2900万人から約3600万人へと約700万人も増え、高齢者の単身・夫婦世帯も約1000万所帯から約1245万所帯に増加する。ともに10年間の増加率は20%を越える。

 一方で、介護施設・高齢者住宅などでの定員数は全高齢者の4.4%程度と、イギリスの11.7%、デンマークの10.7%、アメリカの6.2%を大きく下回っている。政府は欧米並みの整備率とするため、今回の改正法案の提出に踏み切るものだが、年間平均6万戸程度の供給が必要だとしている。高齢人口の急増から見て、年間10万戸〜18万戸程度の供給が必要との試算もあり、厳しい状況の続く住宅着工件数面では大きなインパクトになる可能性もある。

 改正法には、サービス付き住宅の【登録基準】として下記の要件が盛り込まれる。
<建築物のハード>
・床面積が原則25岼幣
・構造・設備が一定の基準を満たすこと
・バリアフリー→廊下幅、段差解消、手すり設置
<サービス>
・サービスの提供→少なくとも安否確認・生活相談サービスの提供(サービスの例:食事の提供、清掃・洗濯等の家事の援助など)
<契約内容>
・長期入院を理由に事業者から一方的に解約できないとしているなど、居住の安定が図られた契約であること
・前払い金に関して入居者保護が図られていること→初期償却の制限、工事完了前の受領禁止、保全措置・返還ルールの明示の義務付け
 登録制度にはこうした内容以外に【登録時業者の義務】【行政による指導監督】も加えられた。

 サービス付き高齢者住宅の供給促進策には、来年度予算案に〈登録された〉住宅を対象に建築費の10分の1、改修費の3分の1(国費上限1戸=100万円)の補助が打ち出されている。税制面でも〈所得税・法人税〉=5年間、割増償却40%(耐用年数35年未満28%)、〈固定資産税〉=5年間、税額を3分の2軽減、〈不動産取得税〉=家屋・課税標準から戸あたり1200万円控除、土地・家屋の床面積の2倍にあたる土地面積相当分の価格等を減額といった優遇措置が施され、初年度727万円、5年間で1241万円の減税額となる。思い切った優遇措置が取られることになっている。

 こうした供給対策の一方で、サービス付き高齢者向け住宅に入居する需要者に対し、その家賃の前払金などを民間金融機関がリバースモーゲージ(死亡時一括償却型融資)で融資・実行した場合、そのリバースモーゲージを住宅金融支援機構の住宅融資保険の対象とする方向も打ち出されている。
 
 菅政権の国会運営が一段と厳しさを増す中、福祉国家型経済モデルの法案は陽の目を見るのか、その行方はこの国の明日を占う。

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