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「CMBSを日銀が買い取れ!」と主張している、まか不思議な「不動産投資市場戦略会議」の報告書

  【2011-01-17:大越 武】低迷している不動産投資市場の活性化のため、馬淵澄夫前国交大臣の肝いりで設置した「不動産投資市場戦略会議」の報告書が昨年末まとまり、公表された。日本不動産ジャーナリスト会議では早速、新年第1回目の研修会(1月27日開催)で、この答申についての勉強会を催すので、報告書の全文を事前に読んで見た。読んでいくにつれ、やたらとデットの問題が強調されており、しかもその中身に、とんでもない内容が入っているのに驚き、黙っておるわけにもいかず問題提起する。
不動産投資市場戦略会議の報告書はコチラ

  何がとんでもない内容なのか――。それは、「3.不動産と金融市場の課題そして対応策」の「(1)デット市場の課題と対応策」のところで、「CMBS(商業用不動産ローン担保証券)を日銀の買取対象債券となるよう、それに相応しい市場の形成を進める必要がある」と、堂々と主張しているのである。

 つまりは、日銀の上場不動産投資信託(J-REIT)の買取り決定に悪乗り(?)してか、リーマンショックの引き金になった「サブプライムローン」と同じデリバティブ商品の一つである「CMBS」の日銀買取りを、この報告書で謳っているのである。これは、驚天動地の話ではなかろうか。日銀や金融庁は、どう思っているのか?それともアホらしくて、取り上げもしないか?

 しかも、この報告書では、関連データとして参考資料の最初に「CMBS発行額の推移」を、ご丁寧に掲載しており、これを見るとCMBSは、リーマンショック後はほとんど発行されておらず、市場が完全に崩壊して、紙切れ同然の機能不全に陥っている。それを日銀が買い取れ!とは、どういう魂胆なのか。
CSBMの買取額

 CMBSでは、投資ファンドのプロの野村証券も、約10年前に大損しているし、それに懲りずにその系列の野村不動産ホールディングス(HD)も2010年3月期で105億円の特別損失を出し、年間配当を40円から25円へと減配して世間をアッと言わせた。それでもまだ処理が終わらず、2011年3月期にも147億円の特損を計上すると昨年12月に発表するなど、大失敗をしでかしている商品なのである。

 忘れられないのは、つい昨年まで「CMBSが2兆円もの大量の償還期を迎えるので、ビルの投げ売りが始まるのでは?」という、いわゆる「2010年問題」が叫ばれていたことだ。どうやら、これはダヴィンチ・ホールディングスの投げ売りくらいで回避できたようだが、野村不動産HDにみられる大損害のように、まだまだ火種を多く抱え込んでいるシロモノである。だからこそ今回の不動産投資市場戦略会議でも、政府に対して「何とかしろ!」と問題提起しているのであろう。

 それにしても一体、このような報告書がなぜ公表されたのだろうか?きちんと議論が尽くされたのかどうかも含めて、興味は尽きない。1月27日の研修会では、講師にぜひ、そこをお聞きしたいものだ。

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- | 2011/03/10 12:04 PM
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