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エコマンションって何?―住宅市場における“エコ商売”を考える

 【2010-11-29:千葉利宏】エコカー補助金&減税の導入(2009年4月)を機に「エコ○○」という言葉が定着し、住宅市場でも「エコ住宅」「エコマンション」という言葉を良く聞くようになった。三菱地所でも来年1月に販売開始する新コンセプトの環境配慮住宅「パークハウス吉祥寺OIKOS(オイコス)」をエコマンションと言っているが、何を基準にエコマンションなのかが判りにくい。国土交通省にもエコマンションの要件を確認したが、「はっきりした定義があるわけではない」との答え。住宅エコポイント制度の対象となる省エネ法のトップランナー基準を満たしている物件と思っている人もいるだろうし、エネルギー消費量やCO2排出量の削減率で考える人もいるだろう。エコマンションの定義や基準を明確にしていくことで、消費者が選びやすい環境を整えていく必要があるのではあるまいか。
 パークハウス吉祥寺オイコス パークハウス吉祥寺オイコス内部
【写真】パークハウス吉祥寺OIKOS外観=左、内部=右(11月12日撮影)
「エコ○○」―エコカーの場合はどうだった?

 エコカー補助金&減税をテーマに導入当初に取材して記事にまとめたことがある。それまで自動車業界内でも「エコカー」という言葉はあまり使われておらず、「低公害車」「低排出ガス車」という言葉が一般的だった。2007年に導入された低排出ガス車を対象とした自動車税の減税制度も、正式な名称は「自動車グリーン税制」であることを知った。

 08年9月のリーマンショック後、総選挙を睨みながら、自民党が打ち出した経済危機対策の中で、低排出ガス車を対象に自動車取得税、自動車重量税の減税を実施するほか、車齢13年超の車を廃車して買い換える場合には補助金を支給する大盤振る舞いの優遇策が決まった。従来の政策と区別するために、自民党やメディアがエコカー補助金&減税と命名したことで、「エコカー」という言葉が一気に広まったのである。

 エコカー補助金&減税の対象には、電気自動車やハイブリッドカーだけでなく、平成17年度排出ガス基準値を75%軽減した低排出ガス車(いわゆる四つ星車)で、平成22年度燃費基準を15%上回る車なども加えられた。燃費基準は車両重量の区分ごとに決められているもので、燃費性能がもともと良くない高級な大型車でも、基準さえクリアすれば「エコカー」として補助金&減税の対象になってしまう。しかも日本の燃費基準は世界では通用しない特殊なカタログ値で、つい最近見直しを実施することが決まったばかり。景気対策と割り切れば仕方がないところだが、そこに違和感を感じた。

 「そもそも、エコカーって何?」―いろいろと聞いて回ってみたが、よく判らない。経産省の担当者は「役所ではエコカーという言葉は公式には使っていない」と言うし、日本自動車工業会でも「メディアが言っているだけで、そもそもエコカーの定義があるわけではない」との答え。しかし、自動車メーカーのホームページをみると、すでにトヨタ自動車がエコカーという言葉を使い始めていた。「トヨタはエコカーをどう定義して製品を分類しているのか」と問い合わせた。

 「千葉さん、難しい質問して困らせないでくださいよ」と、折り返し電話をかけてきたのは、自動車担当記者時代からの付き合いの企業広報グループ長の本間さん。どうやらトヨタもイメージ先行で、エコカーという言葉を使っていたようだ。「税金を使って補助金&減税を受ける以上、国民に対してきちんと説明できるようにするべきじゃないの?」と言って電話を切った。

 今、トヨタのホームページを見ると、エコカーの後には(「環境対応車 普及促進税制」適合車)との但し書きが付いている。とりあえずエコカー減税の対象車をエコカーと定義したようだが、それだけをエコカーと言うことにトヨタ自身も違和感があるのだろう。来月12月13日からホームページ上に「みんなのエコカー会議」というサイトを立ち上げ、「あなたに、あなたの、エコカーを」をテーマに、ツイッターなども活用して一般消費者と「未来のエコカー」を議論する場をスタートさせる。
http://www.ecocar-kaigi.jp/

「エコ○○」―エコマンションはどうするのか?

 前置きが長くなったが、エコマンションには、どのような但し書きが付くのだろうか?エコカーのように(住宅エコポイント対象マンション)ということにすると、今年3月の制度導入を契機にマンション事業者は続々と住宅エコポイント対象マンションの建設に着手している。これから登場するマンションは、ほとんどがエコマンションということになりかねず、差別化がやりにくくなる。

 三菱地所のパークハウス吉祥寺では、環境に配慮した様々な取り組みが行われていた。外断熱工法、太陽熱利用の給湯システム、床輻射式の空調システム、太陽光発電システム&LED照明などの採用。国土交通省の「住宅・建築物 省CO2推進モデル事業」にも認定されている。

 さらに省CO2技術を満載するだけでなく、駐車場を設置せずに1戸当たり2台の駐輪スペースを用意するなど「住まい方」や「デザイン」でもエコな暮らしを実現する提案を行っている。ハードとソフトを合わせて新しいコンセプトの「エコマンション」と言っているのだろうが、プレスリリースには「パークハウス吉祥寺は住宅エコポイント対象マンションである」とはどこにも書かれていない。

 トヨタの「みんなのエコカー会議」の冒頭には、「いろいろな暮らしがあるように、エコカーもいろいろがいい」と書いている。確かに消費者のニーズは様々で、エコカーと同様にエコマンションもいろいろあって良いのかもしれないが、選ぶ時に比較するのが困難なようでは消費者が混乱することになりはしまいか。

 東京都が2005年10月からスタートしたマンション環境性能表示の義務付けも、対象は大規模マンションに限定され、今年10月から建築物の延べ面積5000平方メートル超の物件に拡大されたばかり。断熱性、省エネ性、みどりなど5項目をそれぞれ★3つで評価する仕組みだが、満点の★15のうち「★いくつ以上でエコマンション」といった基準があるわけではないようだ。

 エコマンションに対する消費者のニーズも、技術の進歩や社会環境の変化によって時代とともに進化していくことが想定される。トヨタが消費者と未来のエコカーについて議論しようと考えたのも、環境に対する消費者のニーズを的確に把握しようという狙いがあるのだろう。今後、マンション事業者も消費者に対してエコマンションを積極的にアピールしていこうとするのなら、「エコマンションとは何か?」から議論する必要があると思うのである。

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