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2030年には高速道路を移設して日本橋川の再生を!―三井不動産が描く20年後の東京・日本橋の将来像

 【2010-10-27:千葉利宏】東京・日本橋地区のランドマーク、日本橋三井タワーが完成して5年が経過し、中央通りを挟んだ向かいに三井不動産が開発した「室町東三井ビルディング」、野村不動産の「日本橋室町野村ビル」の超高層ビル2棟が完成した。両社は10月25日にそれぞれ記者会見と内覧会を開催、両ビルの商業ゾーンは28日に同時オープンする。しばらく日本橋地区では目玉プロジェクトの完成がなかっただけに、三井不動産の岩沙弘道社長も記者会見に出席し、「地元の人や企業が自ら積極的に動いて日本橋を良くしていくことで、高速道路の移設に対するコンセンサスも得られると信じている」と、日本橋再生計画にかける思いを語った。
日本橋室町
<写真>中央通りから空を見上げて、左から日本橋室町野村ビル、室町東三井ビルディング、右側が日本橋三井タワー(東京中央区日本橋にて)
 日本橋川再生プロジェクトが注目されたのは、2005年の日本橋三井タワーの完成がキッカケだった。韓国ソウル市でも、高速道路で塞がれていた清渓川(ちょんげちょん)を復活させて都市再生の象徴となったこともあり、小泉政権最後の置き土産として「日本橋川に空を取り戻す会」を設置。1964年の東京オリンピック開催に合わせて日本橋の上にかけられた高速道路を撤去して、川辺を再生するプロジェクトの実現可能性が検討され、2006年9月には報告書もまとめられた。

 しかし、小泉首相が退陣すると、高速道路の移設事業費で4000億〜5000億円の巨額な資金が必要となるプロジェクトはほとんど話題に上らなくなってしまった。最近ではすっかり忘れられてしまった印象だったが、日本橋地区の人たちは決して諦めていたわけではないようだ。記者会見の最後には、「2030年の日本橋」と題し、高速道路が撤去されて水辺が整備された日本橋地区のイメージ映像を披露して、改めて高速道路の撤去を強くアピールした。

 都市における水辺の再生は、韓国ソウルだけでなく、欧米の大都市でも実施され、都市の活性化に大きな成果を挙げている。最近では中国・上海市にも「日本橋川再生の取り組みを視察に来たあと、上海万博に合わせて、あっと言う間に高速道路の移設を実現させてしまった」(岩沙社長)と、先を越されてしまった。それだけに是が非でも、日本橋で実現させたいとの思いは強いのだろう。

 イメージ映像には、江戸時代の木の日本橋が今の日本橋と並んでかけられ、防虫・防腐効果のある渋墨塗りで仕上げた黒壁造りの木造建物が建ち並ぶ江戸のまちなみを再現した街区が映し出された。中央通りをはさんで超高層ビルが林立する一方で、1000年以上の歴史がある福徳神社を再建し、本格的な江戸のまちなみを蘇らせる―。「残しながら、蘇らせながら、創っていく」ことで、かつて日本の経済・文化の中心地であった活気ある日本橋を再生しようという狙いである。

少子高齢化時代のまちづくりはどうあるべきか?

 果たして20年後、日本橋川の再生は実現しているだろうか?最大のポイントは、日本橋再生が東京の国際競争力向上にどう寄与するかだろう。今後、一段と少子高齢化が加速し、日本経済の国際競争力が低下する懸念が大きいなかで、日本橋だけが活気ある街として勝ち残るとは考えにくい。

 東京だけを考えても、丸の内・大手町もあれば、銀座、秋葉原、新宿、渋谷、六本木もある。日本が成長している時代であれば、それぞれの地域が競争しながらまちづくりを進めることで、全体が底上げされて東京、引いては日本の発展に寄与するとの論理も通用したかもしれない。しかし、今後は国内でも都市間、地域間で優勝劣敗が拡大すると予想される状況で、限られた予算を特定の地域に投下することが有効であると説得することは容易ではない。

 2030年のイメージ映像には、日本橋地区の活気ある姿は確かに描かれていた。だが、残念ながら、日本橋再生が東京、さらには日本全体にとってどのような位置づけにあるのかは伝わってこなかった。日本橋川の高速道路移設問題を、日本橋地区以外の人たちとどのように共有していくのか。これからの日本のまちづくりのあり方を考えていくうえでも重要かもしれない。

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