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【田中順一郎氏追悼】今も強く心に残る「仏像鑑賞」の話

 【2010-02-16:(株)不動産流通研究所・丹羽洋子】田中順一郎氏には「月刊不動産流通」誌面に何度もご登場いただき、都市開発、住宅・宅地、不動産証券化等さまざまなテーマでご意見、ご提言をいただいたが、個人的には、ご趣味の仏像鑑賞について綴っていただいた「随想」が最も印象に強く、実はこのときから田中氏の隠れファンとなった。
 氏がさまざまな仏像をご覧になってきたなかで、好きな仏像というのは、「見た瞬間に思わず手を合わせて拝みなくなるもの」とおっしゃり、そんな仏像に対しては、お願い事をするとか祈るとかいうのではなく、「はかりしれない無限のものに対して無になって身をゆだねる、救いを求める…。そういう気持ちに自然になっていく」、さらには、「人間というのは、大宇宙の中ではけし粒みたいな存在で、一瞬の光のような人生を送っているにすぎない。そこには絶対的なもの、確かなものはなく、その不確実な中を祈りながら歩き続けている、生きているのは祈りに近いということをわからせてくれる。そんな計り知れないものを感じさせてくれる仏像に魅力を覚える」という言葉が強く印象に残っている。

 氏が仏像に興味を持たれたのが、30代半ばに法隆寺で見た飛鳥様式の仏像に魅かれたことがきっかけであり、その際突然頭の中に“天上の音楽”としか言いようのない不思議な音楽が拡がったという体験から、「天上の音楽」というタイトルで掲載させていただいた。

 最近は、業界団体のパーティーなどでお会いすると、弊誌の編集後記に寸評をくださったりして、本当に細かな気遣いをされる方だと感じていた。ある時「最近仏像はご覧になっておられますか?」とお聞きしたら、「忙しくてなかなかねえ」とおっしゃった寂しそうな表情がいまは心に沁みる。

 腰を悪くされ、最後にお会いした時は歩くのもお辛そうだったが、今は、苦しみから解放され安らかにお休みであろうか。そして、天上で音楽を聴いておられるのか。

 ご冥福をお祈りします。

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