REJAニュースTopへ

日本不動産ジャーナリスト会議(REJA)が提供するニュースサイト

<< 太陽光発電の買取制度が11月からスタート―現行制度のままでCO2削減25%に対応できるのか?(下) | 日本不動産ジャーナリスト会議 | 【田中順一郎氏追悼】田中智子様(順一郎さんのご令室) >>

建築基準法改正は2011年の通常国会で―馬淵澄夫国土交通副大臣がREJA研修会で講演

【2009-12-12:千葉利宏】
mabuchi 馬淵澄夫国土交通副大臣は12月9日の日本不動産ジャーナリスト会議(REJA)研修会で「建築基準法改正と今後の住宅政策について」と題して講演した。官製不況をもたらした07年6月施行の改正建築基準法を、建築確認検査の「迅速化、簡素化、厳罰化」の3つの目標に基づいて見直すことを明言。当初は2010年の通常国会に改正案を提出することを検討していたが、「急いで法案を用意するのでは、再び机上で検討した改正と言われかねない。2011年通常国会での法改正をめざし、来年度は幅広い意見を聞くべく、運用改善で対応したい」との考えを示した。
 馬淵副大臣の講演内容は、下記の通り。
姉歯事件のついて

 2005年当時は、財務金融委員会に所属していた自分が、10月に民主党本部に送りつけられた構造計算書をきっかけに、国土交通委員会で急きょ質問に立つことになった。4年前の11月のことだ。それから姉歯問題に関わることになったわけで、自分でも天命と感じている。

 姉歯問題をキッカケに、建築基準法の改正が行われ、建築士法や瑕疵担保責任履行法など建築関連法規の改正が行われたわけだが、あの時の問題の本質は何だったか―。自分自身は国会内で語ってきたつもりだったが、メディアは全く取り上げてくれなかった。

 問題の本質は、建築確認検査制度という仕組みが破たんしていたにも関わらず、国交省が見過ごしてきた。不作為の中で放置したという責任があるのではないか?という点だ。確認検査という仕組みは、阪神淡路大震災をキッカケに民間開放されたが、その当時の小川住宅局長(現・UR都市機構理事長)が国会で「建築確認検査は、事務的、機械的に淡々の照合すればよい」と答弁している。つまり、確認するだけというところに、問題の本質があった。いずれは姉歯のような人間が出てくる。住宅の安全性が担保できないのに、放置していたという思いがあった。

 事件が発覚したあと、国交省では、第三者機関の設置などの対策を打ち出して、そのあまりにも早い対応に驚いた。これには伏線があり、05年春に国土総合技術研究所に設置された新社会システム研究会から報告書が出されていて、その中には耐震偽装事件のような問題が起きるであろうという記述がちりばめられていた。確認検査機関では、集団規定、個別規定では限界が来ているとの記述も散見されていた。つまり国交省では、すでに確認検査の開放、検査制度そのものが限界に来ていることを理解していた。だから、矢継ぎ早に対応策が打ち出されたわけだ。

 そうしたなかで、案の定というか、姉歯問題を糊塗するかのように現場が混乱するような法改正が行われた。「民主党の馬淵の追及による官製不況だ」と散々言われた。そうした批判は甘んじて受けるが、こうした形で法律が定められていくことに強い危惧を感じていた。

建築基準法の改正問題について

 建築基準法の改正は喫緊の課題と考えている。混乱を招いたことを反省して、しっかりとそれぞれの立場の人の声を聞くことが大切と認識している。ただし、平成22年(2010年)の通常国会に向けて急いで法案を用意するのでは、再び机上で検討した改正と言われかねない。前原国土交通大臣には、23年通常国会での法改正をめざし、来年度は幅広い意見を聞くべく、運用改善で対応したいと話している。

 すでに10月からヒアリングが始った。特定行政庁、民間確認検査機関、構造計算適合性判定機関について要望の多いところから、省令や告示の改正を準備している。建築基準法の改正では3つの目標を設定した。確認審査の「迅速化」、「簡素化」、「厳罰化」である。

1)迅速化について

 とくに要望が多いのは迅速化だ。まずは審査期間の数値目標を示していくことを考えている。すでに期間短縮はかなり進んできているが、確認検査機関ごとに数値目標を示し、実績の公表とフォローアップしていく。どのぐらいの審査をやるというのは市場で大きな意味を持つのではないかと思っている。

 今回のヒアリングも役所がやるのでは、モノが言いにくい面もあるかもしれないが、確認検査の対応も特定行政庁や民間機関によってまちまちのようだ。ある意味、イジメに近い対応もあったという声もある。そこで苦情の窓口を設置する。審査員に対する指導によって、確認検査の適切化と迅速化を図る。また、審査中の差し替えの禁止についても、審査時の指摘によって可能にするようにしたい。チェックリストを簡素化することを含めて迅速化したい。軽微な変更についても拡大していきたい。

 また、4号特例については、当分の間は継続する方向で考えたい。

2)申請図書の簡素化について

 簡素化も要望が多かった。申請図書では、換気扇などの設備機器について詳細な図面やカタログの添付が必要となっていたが、基本性能の明示に止める。大臣認定の写しの添付も、データベースで照合して確認すれば済むようにしたい。

 確認申請の書類、瑕疵担保保険、住宅性能評価に関わる書類なども、手続きのワンストップ化として一定程度同じ書式にして簡素化したい。

3)厳罰化について

 前原大臣からの指示ではあるが、私自身は、厳罰化についてはもう少し検討する余地があるのではないかと個人的には感じている。厳罰化が先鋭的になってしまっては自由度を弱めてしまうのではないか。中間、完了検査の徹底などをしっかりやっていくということで、しっかり見ているということを明示した方が良いのではないかと思っている。

4)増改築リフォーム

 既存不適格建物の増改築では、4号物件の増改築でも構造計算が必要とされてきた。リフォームを推進するために、全体として壁量を確保すれば良いという仕組みを考えたい。

5)建築基本法の制定について

 個人的な考え方として、建築基本法の制定に取り組みたい。和泉前住宅局長時代に、建築基本法のあり方が検討されてきたが、改めて建築全体を俯瞰できるように全体の法体系の整理を行いたい。基準法改正を1年先延ばしして、時間をかけた価値があったと評価されるような法改正を行いたい。

6)伝統構法について

 伝統構法については、すでに国交省内に実証試験を行う部会が設けられているが、伝統構法は耐震基準を含めて建築基準法には馴染まないとされてきた。東のマニュアル、西のマニュアルが分かれている現状をどう整理するのか。石場建てが現在の基準法には馴染まないという問題もある。しかし、このまま曖昧な形で置いておくわけにもいかない。

 これまでの実証試験の進め方は、結論ありきの進め方をしていないか。再度、見直しを国会で明言した。委員の新たな選定を含めてニュートラルな形で進めていただくようにお願いしている。

 平成20年度から3年かけて、伝統構法を基準法に位置づけるための準備を進めてきたが、新たな方向性を考えたい。年明けには新しい形を提示できるのではないか。

7)住宅エコポイント制度について

 住宅問題が、緊急経済対策として取り上げられた。菅副総理からは、景気、環境、雇用の3つのキーワードでアイデアを出せ、との指示があり、住宅版エコポイント制度が取り上げられた。内容的には、まだまだ足りないという批判もあると思う。環境負荷の低減をどう判断するのかという問題もある。住宅の性能評価では、屋根・壁、開口部、設備機器の3つがあるが、設備機器は家電のエコポイント制度で対応できる。屋根・壁は、施工の段階からチェックしないと、実際の状況を十分に把握するのは難しい。

 結局は、開口部に限定させてもらった。極めて矮小化した内容となってしまったが、開口部の場合は、二重サッシの出荷ベースで確認できるので財務省的には良いのだろう。今回は緊急経済対策として出したので、今後も引き続き検討していきたい。

この記事に対するコメント

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://news.realestate-jp.com/trackback/1298231
この記事に対するトラックバック




お問い合わせメールフォーム