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太陽光発電の買取制度が11月からスタート―現行制度のままでCO2削減25%に対応できるのか?(上)

 【2009-10-28:千葉利宏】太陽光発電の固定価格買取制度が11月1日からスタートする。経済産業省はホームページなどで「“今こそ”太陽光発電」と積極的なPR作戦を展開するが、もともとは麻生政権時代に2020年のCO2排出量削減目標8%(90年比)の段階で決められた制度である。民主党はマニフェストに買取制度の大幅見直しを盛り込み、直嶋経済産業大臣も27日に来年3月までに制度見直しを実施するためのプロジェクトチーム設置を表明した。鳩山政権がCO2削減25%削減の目標を打ち出すなか、現行制度がスタートする前に、その狙いや消費者のメリットなどを改めて検証しておく必要があるだろう。
余った電力だけを買い取る現行方式

 08年11月にREJAニュースでは、太陽光発電の固定価格買取制度の導入を提言するコラムを掲載した。それから1年、ようやく日本でも買取制度が導入されることになったわけだが、名称は同じでも、その中身は筆者が想定していたものとはかなり違っていたと言わざるを得ない。戸建住宅だけでなく、マンションにも太陽光発電システムを導入しやすい制度として、ドイツなどと同じで、民主党がマニフェストにも盛り込んだ「全量買取方式」が採用されると期待していたからだ。

 改めて今回の買取制度の仕組みを見てみよう。ポイントは、太陽電池を使って家庭でつくられた電力のうち自宅で使わないで“余った電力”を1キロワット時(kwh)あたり48円で電力会社に売ることができるようになるという点だ。経産省では「この価格はこれまでの約2倍。太陽光発電システム導入にかかる費用も、約10〜15年で解消できるようになる」と説明。学校や工場などの非住宅でも買取単価24円で売れるようになり、太陽光発電の発電量が2020年までには20倍に拡大すると見込んでいる。

 買取期間は10年間で、その間の買取価格は固定されるが、住宅で単価48円が適用されるのは2010年3月末に買取契約した分まで。基本的に太陽光発電システムの導入コストが高いことに対する支援制度なので、今後、大量生産によってシステム価格が順調に値下がりしていけば、それに応じて買取価格を引き下げていくことになっている。

経産省の試算内容を検証すると…

 経産省では、新築住宅に導入費用約185万円の3.5kw太陽光発電システムを設置した場合で、10年程度で回収が可能との試算を公表した。その内訳は次の通り。
・国の補助金・減税=約43万円
・自治体などの補助金=約20万円
・自宅で消費した電力料金=約35万円
・売電収入=約100万円
売電価格約100万円から逆算すると、月平均の売電量は174kwhとなる。

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)によると、日照率による地域差はあるが、太陽光発電システムの年間発電量は1kw当たり約1000kwh。3.5kwのシステムであれば約3500kwhなので、月平均の発電量は292kwhとなる。差し引き、自家消費分は118kwhとなり、3〜4人家族の平均的な電力使用量月約400kwhのうち太陽光発電で3割程度を賄えることになる。

 今回の補助対象となる太陽光発電システムは、蓄電池機能を持っていないことが前提だ。蓄電池があると、単価7円の深夜電力を蓄電して昼間に48円で売るといった使い方も可能になるためのようだ。基本的には、晴れの昼間に発電した電力を自家で消費して余りを売電し、雨の日や夜間は従来どおりに電力会社から電気を購入する。
・一般家庭(400kwh)の電気料金=月8498円
・太陽光発電分(118kwh)を引いた電力料金=月5951円
・電気料金節約額=月2547円→年3万564円
注)電気料金は東京電力の従量電灯B・30Aで東電HPで計算。

太陽光発電の投資利回りは2.5%

 確かに経産省が試算したように10年で元は取れそうだが、初期投資額122万円(国・自治体の補助金を除いた額)に対して得られる収益は、当初10年は電気料金節約分の年約3万円だけで、投資利回りは年2.5%程度である。定期預金に預けるよりは利回りが良いかもしれないが、ローンを組んでまで設置するのは微妙なところ。新築なら良いかもしれないが、既存住宅に設置を進めるのは厳しいのではないだろうか。

 元を取った10年後は、買取単価48円が通常の24円に戻るとして、売電で月4176円の収入が得られる。自家使用分の2547円を加えて、年間約8万円のプラスとなる計算だ。ただ、10年も使用すればシステムの付帯設備の補修や交換が必要になる可能性は高く、どれぐらいの維持管理費が必要となるかは現時点では判らない。さらに10年後の買取単価が24円という保証はなく、下がっている可能性もある。10年以上先の収益を今から予想するのは「獲らぬ狸の皮算用」と感じる消費者も多いだろう。

 今後のプロジェクトチームによる制度見直しも、日本がどのような低炭素社会を実現するのか、そのビジョンを国民と共有ですることが先決だろう。そのうえで、CO2削減25%に向けて、どのような制度設計を行うべきなのか?―今後の議論の動向を見ながら、消費者としても冷静に判断する必要がある。
つづく

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