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ブッシュの負の遺産を一掃へ、オバマ大統領への期待―寉見芳浩NY市立大教授が講演

【2009-01-27:川上湛永】日米関係について辛口の発言で知られるニューヨ−ク市立大学の寉見芳浩教授の講演会が24日、厚木市のホテルで開かれた。地元の不動会社、株式会社リマインドの主催で、この10年、毎年1月中旬に同教授を招き、日米関係についての講演会を連続開催してきた。
 同教授は01年にブッシュ政権が誕生した時は、ブッシュ大統領がハーバードビジネススクールで教え子だったことから「勉学へのふまじめな態度からみて、まともな政治ができるわけがない。キリスト教原理主義者を政権の中枢に据えており、危険極まりない」と警告していた。「オバマ新大統領は、イラクからの16カ月以内の撤兵を打ち出すなどブッシュの負の遺産一掃に、早々に走り出しており、世界中が期待感をもってみつめている」と指摘した。
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写真=オバマ政権と日米関係について講演する寉見教授=厚木市内のホテルで
恐慌には政権交代が必要

 同教授は、アメリカ発の金融危機は、金融システムが破壊されており、恐慌そのものだと言及。「麻生首相は景気後退などと言っているが、オバマはクライシス(危機)の真っ只中にあるとして、恐慌であることをきちんと認識している」。恐慌克服には、ニューディール政策を実施したルーズベルト大統領の例を挙げ、「政治が変わらないと、つまり政権交代がないと適切な対応策が取れない。政権が変わらないと、旧来のしがらみから抜け出せないし、おいしいメシを食わせてもらったことで、対応が甘くなる」と強調した。

 「ニューディールでは、金融と証券の分離が図られ、企業会計の透明化、ウォール街の監視のシステムを構築したが、ブッシュはルーズベルトは社会主義者だといって、ニューディール以来のシステムを意図的に崩した。その結果、国民は多大の犠牲を強いられた。監視機能の面でも、監視役の警官も、信号機も無視し、やたらスピードを楽しむやり方を許した。その結果、経営者が法外な報酬を得る強欲主義がはびこり、貪欲は美徳なりとなった。市場競争だけにまかせれば、金融至上主義になり、弱肉強食になるのは当然だ」とブッシュの政策を真っ向から否定した。

 金融システムの崩壊の影響を最初に受けるのが、製造業だとして、自動車生産が4割減るなど実体経済の崩壊につながる恐れを危惧、恐慌を大恐慌にしないためにも、政権交代が必要だとした。アメリカでは、国民は、それに気がついて、オバマ政権を誕生させたのだと強調した。

オバマを生んだもの

 同教授は、政権交代へのうねりは、06年の中間選挙からだったと説明。上下院選挙で民主党が勝ったが、イラク戦争をやめさせる、自分たちの生活を崩壊から守るという運動が起きた。08年になって、そのうねりの輪がさらに広がったという。

 「オバマはインターネットを使って、草の根のボランティアを募っていった。手紙や電話はコストがかかるが、インターネットはひとつ発信しても、100万人にアクセスしてもコストは同じだ。双方向性もある。バーチャルによる市民グループの横の連帯感を広げていった」

 「日本では、アメリカは人種偏見の強い国とみられ、共和党のマケインで決まりといわれていたようだが、わが家が火事で、焼け死にそうになったとき、駆け付けた消防士の皮膚の色で、頼むかどうか決めるだろうか。私の分析では、大卒の6割はオバマに投票、投票率の低いといわれている20―30代の若者の6割もオバマに投票している。就任式に全米から200万人もの人が極寒の中、集まったのは、自分たちもやったのだ、オバマを誕生させたのだ、オバマはやってくれるという共感からだ」

矢つぎ早の政策展開

 オバマ大統領は、経済の復興、雇用確保、地球環境の保護、教育システムの改革、政治システムの改革を公約に挙げている。

 1月20日の就任以来、次々と新政策を打ち出している。イラクからの撤兵、キューバ・グアンタナモ収容所の閉鎖、人口妊娠中絶を支援する国際団体への資金援助規制を撤回する大統領令の発令、つまり中絶の権利を認める政策で、ブッシュ政権からの方針転換だ。

 オバマ大統領は、2月中旬までに総額80兆円の大型景気対策を打ち出す予定だが、同教授によるとブッシュの8年間で、地方自治体が疲弊、ローカル企業も停滞したほか、道路、橋の修理が進まず、小中高の教育がおかしくなり、治安も悪くなったという。オバマは、教師に自主性を持たせ、テスト重視の教育から、歴史教育などを重視するとしている。

 また、ブッシュ時代は、政治家に圧力をかけ、利権をあさるロビイストが、政権を腐らせたが、ロビイストの活動を禁止し、あわせて政府高官の10万ドル以上の給料の凍結を決めたことを挙げ、民間企業の強欲者への見せしめになる、と指摘した。また、オバマは温室効果ガスを減らすとブッシュの政策の転換を図るが、「ブッシュはこれだけ気候変動が明らかなのに否定してきた。この温室効果ガス担当に、実はロビイストを据えていた、オバマは物理学者を起用した。環境政策は大きく変わるだろう」。

オバマ政権と麻生政権

 ブッシュの8年間、日本の首相は、小泉,阿部、福田、麻生と4人かわった。

 「麻生政権がブッシュに仕えていることは、よく知られている。麻生のイメージはよくない。麻生財閥のある会社が戦争中、アメリカ、オーストラリアの捕虜を虐待したことがアメリカでは知られている。首相は否定しているが、オーストラリアでは在郷軍人会から非難の声が上がっていると聞いている。歴史は語り継がれるものだ」

 「アメリカも日本も恐慌の真っ只中にある。アメリカは政権交代を選択し、実現したが、日本ではどうなるのか」
 
 同教授は、今年秋までに実施される総選挙の帰趨に、日本の将来がかかると結論付けた。

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